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覚醒

第22章 暗黒の性の鎖

父の魂胆は一体?…

真実は混乱の渦の中でもがいていた。

真実の意志など無視し、結婚を強いる。

いくらなんでも、理不尽だ。

真実の瞳からは次々と涙が溢れ、止まらなかった。

「…二人とも、私の部屋へ来なさい…」

聡が命令口調で言う。

康太は拳を強く握り締め、部屋へ向かう聡の背中を睨み付けた。

顔を手で覆い、泣きじゃくる真実の肩をそっと抱く康太。

その姿を見ていると、自分の欲求だけのために真実を傷付けていることを今更悟った。

独りよがりな自分を恥じる。

「…ごめん、真実。俺は何て馬鹿なんだ!ここへ来るべきじゃなかった!君を傷付けてまで、結婚しようなんて…。ただの自己チューな愚か者だ。ごめん、帰るよ…」

その場から立ち去ろうとしたその時。

「…待って!行かないで!

…いいの…ごめんなさい…。泣いたりして…。私…どうしたらいいのか分からないの…。

でも、パパの言う通りにしたい…。お願い…帰らないで…ね?…」

康太の腕を必死で掴み、涙ながらに康太を引き留める真実。

「…真実…そんなにお父さんのこと…?でも、やっぱりこんなの間違ってる。どうかしてるよ俺も、君も、お父さんも!」

「…そんなの分かってる。私達は初めから…。でも、もう止められない…。あなたと…結婚するわ!」

「真実…いけな…ンン!」

真実は康太の唇を自分の唇で塞ぎ、言葉を遮った。

驚いた康太は、真実を押し返そうとするも、真実の腕が康太の首に回され、強く抱き締められて動けない。

激しいキスを康太にぶつけ

「…お願い…」

と、潤んだ瞳で康太を見つめた。

康太はこの父娘の底知れぬ恐ろしさにゾッとしたが、この娘に惹かれ、この家にノコノコとやって来た自分は、もっとイカれてると思った。

真実の言う通り止められない自分がいる…。こんなことくらい想定内の筈。そして、ここへ覚悟を決めて来た筈だ。

康太の目に決意の力が篭る。

真実の肩を抱き、二人で聡の部屋へ向かった。

ドアを開けると、康太の胸は音を立てて騒ぐ。

記憶が鮮明に蘇り、じんわりと汗ばむ。

それは恐怖や不安からではなく、康太の精神の深い場所から突き上げてくる甘美な熱だった。

あの日、真実は真っ赤なロープで辱しめられ、美しい肉体を晒していた…。

蘇る記憶に、康太の下半身は呆れる程硬く隆起していた。

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