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覚醒

第16章 予感

真実は、もう寝ると言い、部屋に戻った。

夏海も風呂を出て、寝室へ行き、鏡台に向かって化粧水や乳液で、肌の手入れをして、ベッドに入ろうとしたとき、ふと、夫のベッド下から黒い革の鞄が見えた。

よく見ると、鞄のファスナーが半分開いていたので、中身がすぐに見えた。

「…これは…」

真っ赤なロープ、バイブ、ローター…。

夏海にも覚えのある品々だった。

「…フフッまさかね…そんな筈はないわよ…」

夏海はファスナーを閉め、ベッド下へ押し込んだ。

中々寝付けなかった。

真実の言葉がフラッシュバックする…。

『…好きな人がいるの…』

『…もっとずうっと年上…』

「…ないない、そんなことある訳ないわ…」

夏海は奇妙な予感を振り払いたかった。



次の日、夏海は真実に、それとなく聞き出してみようとも思ったが、どう切り出していいのか分からず、結局何も聞くことが出来なかった。

真実は、大学の友達とクリスマスパーティーをすると言い、出掛けてしまった。

「…大丈夫よね。同じことになんて、なる筈ないわよ…」

気を紛らすように、夏海は部屋という部屋を掃除した。昔から、嫌なことなどがあると掃除して気分転換する癖がある。元々几帳面なので、綺麗になると気分が落ち着くのだ。

寝室の掃除をしていると、否応なくあの鞄が目に入る。

夫はこれを、何故出してきたのか…。随分前に封印した筈なのに…。

夫のベッドを見ると、シーツもベッドカバーも綺麗に洗濯されている。

夫が洗ったの…?それとも…。

夏海の疑念が膨らんでいく。

再び鞄のファスナーを開けてみる。

使った形跡を探るも、その手立てがない。

それらをじっと見ていると、夫との過去の思い出が甦る。

忘れかけていた、快感…。

夏海の下半身が熱くなる。じんわりとショーツが湿り気を帯びてくる。

スカートの中に右手を忍ばせ、火照った部分をまさぐると、パンストにまで染み出している。

パンスト越しに縦スジをなぞると、ヒクヒクと躰が反応する。

「…私ったら、いい歳して…。でも、どうしましょう。止まらない…ンアァ~ンッ!」

夏海は、座ったまま足を大きくM字に開き、濡れた部分を激しく擦る。

パンストがもどかしくなり、ビリビリと内腿の方から、股間の部分を引き裂いた。

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