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覚醒

第19章 忌まわしい再応

父は夏海をストレスの捌け口にしていただけなのだが、夏海を抱いた後、優しくすることで自分の罪悪感を少しでも拭い取ろうとしたのだ。

しかし、そんなことをしたところで何が変わるでもなく、それどころか、夏海の方から求めて来るようになり、父の背負う十字架は重みを増す一方だった。

夏海は初めは怖くて痛くて、父親が夜な夜な忍び込んで来る度にガタガタと震えていたが、父は次第に凌辱的ではなくなり時折優しくされ、夏海の幼い性感が覚醒させられてしまった。

いつの日からか、夏海自らショーツを脱ぎ、秘部を濡らして父の夜這いを待つようになった。

父は夏海を抱く時、いつも悲しげな目をしていた。

夏海はそんな父の苦悩を理解していた。胸を痛め、同情するようになり、父を支えたいと思っていた。

自分の躰など父の為ならどうなっても構わないとさえ思うようになり。徐々に父親を男として愛するようになってしまう。

ズルズルと父娘の禁断の関係は続いていたが、そんな秘め事はいつまでも続く筈はない。

ある日、夜中にトイレに立った母に見つかり、壮絶な修羅場となった。

そして両親は離婚。母親は家を出てしまった。

夏海は父と二人で暮らすことになった。

それからも父娘の関係は続き、やがて夏海は中学生に。

父は夏海を激しく抱いた後、愚かな自分を悔いては酒を浴びるように煽ったり、自ら命を絶とうともしたが、そう簡単に自分を抹消することなど勿論できず、過誤を繰り返す毎日…。

父はやがて過度なストレスと、不摂生が祟り、重度の胃癌が、肺、肝臓にまで転移し、夏海が中学二年の秋に他界してしまった。

それから夏海は、親戚を転々とたらい回しにされた。

それでも父方の親戚の一つが良くしてくれたお陰で、高校へも通う事ができ、奨学金で大学へも入った。

夏海は医師として癌と闘う患者の為に、いや父の為に働く事を決意したのだ。

やがて夏海は、聡と出会うが、父を愛していた夏海は聡との結婚に中々踏み込めなかった。

聡はそんな夏海の心の内を知った上で、それでも構わないから結婚して欲しいと懇願した。

夏海はそんな聡と結婚するが、二人の間には、夫婦なら当たり前のように存在する「愛」は無かったのだ。

しかし、当然と言えば当然のように聡は「愛」に餓えていく…。

夏海は、そんな聡の気持ちに今の今まで気づくことがなかったのだ…。

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