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BED de 嵐

第2章 Bitter Sweet(楠大雅×矢野健太)

「お疲れっしたー…」


収録を終え、俺は足早にテレビ局を後にした。


今日…あまり集中出来なかったな…。


最近大雅からの連絡はない。
ドラマの撮影で忙しいんだろうけど…。
やっぱり…俺の事なんてどうでもいいのか。


何でこんなに逢いたいんだろう。
全然気付かなかった。
こんなに…好きになってたなんて。


大雅…。
大雅…。
大雅…。


「健太くん」


大雅の声がする。
優しくて心地いい声。


重症だな…声まで聞こえてくるなんて。


「健太くん…健太くん…」


あーもう…俺馬鹿か…。
俺は歩く足を速めた。


「健太くんてば!」


いきなり腕を掴まれ、振り返るとそこに大雅が立っていた。


「え…あれ…」


大雅「健太くん…何で無視するんだよ」


「………本当に…大雅…?」


大雅「俺以外誰がいるんだよ」


本当に…大雅…。


「大雅…」


大雅「健太くん…ごめん。逢いたかったんだけど撮影詰まってて…」


「………今日は…いいのか?」


大雅「うん。今日は出番が少ない日だから…。健太くん…ワイドショー…観た?」


俺はうつ向いて頷いた。


大雅「ごめん…。あれ…あの女優にはめられたんだ。でも事務所の方針で…あんなコメントしか出せなくて…でも…俺が好きなのは健太くんだけなんだ。本当なんだ。信じて?」


「………」


大雅「健太くん…俺の気持ちは変わらない。健太くんが好きだよ。大好きだ」


「………も………き…」


大雅「え?」


「俺…も……好きだ…」


大雅「え…」


「大雅が好きだ…だから…ショックで…。俺の事なんて…もうどうでもいいって…思ってた…」


大雅「ごめん…でも…めっちゃ嬉しい…やっと…好きになってくれた…」


大雅に抱き寄せられ、俺は顔を埋めた。


「………うっせぇばーか…」


大雅「ふふっ…大好きだよ」


大雅に顎を掴まれ、顔を上げるとちゅっとキスされる。


「ば、ばか…」


大雅「………ねぇ…健太くんと2人きりになれるとこ…行こう」


耳元で大雅に囁かれる。


それがどういう意味なのかは…勿論分かってる。


「………うん…」


頷いて…俺は大雅の手を握った。


「いいよ…大雅…」

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