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甘く、苦く

第66章 櫻葉 【帰り道】






連絡先は知らない。
でもその方がいい。

知ってたら、多分俺はしつこいくらい
メールしちゃうだろうから。


だから。


連絡先は知らない方がいい。

ほんとはもっとたくさん話したいけど
まず話の話題が俺達にはない。

仕方ないじゃん。

ただのバイト先の先輩って
だけなんだからさ…


「…はぁ、」


恋する乙女みたいに
俺は今日も先輩のことを考えては
溜め息をついているんだ。

俺らしくない。

でも、でも……
それくらい、先輩のことを
想う気持ちは強くって…

なんていうのかな…


俺の考えてる事の七割くらいは
先輩のことかもしれない。

勉強なんて身につかないし、
先輩の事を考えてると
すぐに時間が過ぎてしまう。


「…お風呂入ろ」


流石にこの体で寝るのは嫌だ。

風呂に入ろう。うん。

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