
甘く、苦く
第66章 櫻葉 【帰り道】
…櫻井さん、俺の気持ちに気付いてよ…。
でも、気付いたら引かれちゃう?
ぐるぐるぐるぐる…
俺の頭の中で渦巻いてる。
考えてる事の大半、
櫻井さんのことなんだよ…?
学校にいても、友達と遊んでも
どこにいても、常日頃櫻井さんの事を
考えてるのに。
櫻井さんは俺のことなんか
眼中になくって。
可愛いあの彼女に夢中。
『明日の予定教えて』
画面に表示された『和也』の二文字。
…またか。
なんて思いながらも
俺はコイツが一番の親友だ。
『また?』
『だめなの?』
『いいけど…』
『じゃあ教えて』
呆れながらも明日の予定と授業内容まで
細かく教えてやった。
『さんきゅー
つか細けえよ笑』
『うるさい』
『はいはい』
そこで会話は途切れた。
また、櫻井さんの事を考える。
来週はどんな服着て
櫻井さんの隣を歩こうか。
どうしよう。
今日は制服だった。
…まあ、補習があったから。
来週はどうしよ。
そんな事を考える時間は
とても楽しい。
