甘く、苦く
第66章 櫻葉 【帰り道】
また一週間が始まる。
俺が嫌いな月曜日。
だって櫻井さんに会えないから。
会える日が遠いから。
こんな無駄な無限ループ、
学生しかないじゃん。
無意味なこんな時間。
先生の話をポーっと聞いていたら
ウトウトしてきた。
…昨日櫻井さんの事考えすぎて
よく眠れていない…。
アホみたい。
叶うはずないってわかってても
どうしても。
どうしても、櫻井さんの隣を
歩くあの帰り道からの
景色が離れなくて忘れられない。
いつもと同じ帰り道なのに
なぜか輝いて見える。
隣を空いてるだけなのに……
それだけなのに……
胸がきゅっと締め付けられて
顔が火照る。
「相葉ー、なに外みてんだあ
授業ちゃんと聞けぃ」
「だっておーの先生の
授業聞いてると眠くなるんだもん…」
「口答えはいいから、
ノートをちゃんと取りなさい」
俺はぶーっと唇を尖らせて
黒板とノートをじっと見るけど。
ノートに書いてることは
櫻井さんの事ばかりで。
…あの彼女を見るからにして、
櫻井さんは清楚な子が好きだ。
………。
よし。
今日美容院に行こう。