甘く、苦く
第66章 櫻葉 【帰り道】
…はっ!?
え?
「んんーっ…!!!」
腰をぐっと引き寄せられて、
更に深いキスになる。
…っ、なんで、櫻井さん……
思いっきり首を振って、
櫻井さんから逃れた。
「…ごめん、唇、綺麗だから…」
「ちがっ!びっくり、して…」
「……あのさ、今日…」
「ごめんなさい!
俺、もう休憩時間終わりだから…っ!」
櫻井さんの顔が見れなくて。
俺の気持ちに気付いて
しまったんじゃないか、
って、怖くなって…。
…嫌とかじゃなかった。
びっくりしたんだ。
まさか、まさか櫻井さんが……。
今日、俺はこの気持ちに
ケジメをつけなきゃ
いけないのかもしれない──……。
「相葉っ!」
「っ、」
「店長、ちょっとコイツ借ります」
「?おう」
掴まれた右腕が、熱くて。
このドキドキが伝わってしまう気がして。
「…っ、やだ!」
………あぁ、なんて事を
してしまったんだろうか…。
あの時の顔を思い出すと、
今でも泣きたくなってしまう。