甘く、苦く
第66章 櫻葉 【帰り道】
あの事があってから、
櫻井さんへの想いは募るばかりで。
でも、会いたくなくて。
あのコンビニのバイトはやめて
あのコンビニには寄り付かなくなった。
「…和、帰ろっ」
「……あー、ごめん。
今日一緒に帰れねーや。」
「なんでだよう。
また彼女?」
「んなわけねーだろ。
生徒会だよ、生徒会。」
「…生徒会長なんかになるからぁ…。」
「仕方ねえだろ。
お前が推薦したくせによ。」
和はべっと舌を出して、
生徒会室へ行ってしまった。
……あーあ。
今日もひとりで、
すっかり日が落ちてしまった道を歩く。
やっぱり俺には、
和が必要だった。
あの事があって以来、
俺は和としか接しなくなってた。
人に関わるのが、
嫌になってしまったのか。
わからないけど…。
とにかく、櫻井さんへの気持ちに
嘘をつき続けて、
日々を過ごしていたんだ。