甘く、苦く
第66章 櫻葉 【帰り道】
「櫻井さん、あのね、」
「ん?」
「俺、櫻井さんと付き合うって…
可能なんですか?」
「ふふっ…
もう、ほんとに可愛いなぁ。」
以前のように腰を引き寄せられて
キスをされた。
唇を離したあと、
櫻井さんが子供みたいに笑って
「これが答えだよ」
って。
「それって…」
つまり。
そういうこと、だよね…?
「まだ足りないから、
ちょうだいよ」
「へっ…!?…んんっ、」
櫻井さんに頭を固定されて
うまく動けない。
いつもより、優しく笑って
俺の左手をとった。
「付き合ってくれますか。
"雅紀"」
「っ…!」
「だめ…?」
「だめなわけない!
寧ろ、嬉しい!」
勢いに任せて、俺よりも背丈の低い
櫻井さんを抱き締めた。
途端に胸がきゅっと締め付けられ、
この距離感に今更気付いた。
こんな近くで
顔を見たのは初めてで、
心臓が今にも飛び出しそうだった。
「…ね、雅紀、」
「っ、」
目線がどうしても
上目遣いに見えるのは
櫻井さんの方が背丈が低いからで
意識してしてるわけじゃない…
そういうことにしておきたいけど、
可愛くって。
「雅紀も、俺のこと…」
「…やだ」
「え?」
「…櫻井さんがいい。
じゃなきゃ…抑えられそうにないって」
「っ…!
雅紀が下だし!」
「え…
櫻井さん下でしょ…?」
こんな可愛い櫻井さんを前にして
俺の理性が崩れるのも
時間の問題なんだ。