
甘く、苦く
第67章 大宮【just a little】
相葉さんとの距離感は、
智とは違った意味で好きだ。
やっぱり親友の相葉さんは
俺のことをわかってくれてる。
だから
ちょっとくらい、
俺は相葉さんと一緒にいたっていいしね。
智がヤキモチ焼きなのは
知ってる。
当分前から。
でも、それでも。
ヤキモチ焼いて欲しいし、
俺だけを見てほしい。
「ニノ、じゃ頑張ってね」
「ん〜」
「また連絡するね」
相葉さんがいつもみたいに
爽やかな笑みを残して
楽屋を去っていく。
それを智が唇を尖らせて
見ていた。
「なんだよぅ、ニノのばあか」
「んだと」
「相葉ちゃんばっかじゃん…
もうしーらない」
唇を尖らせたまま、
コートを羽織ってる智。
「んだよ、
怒ることねえじゃん」
「知らない…べーだ」
…小学生かよ、って
苦笑を浮かべながら
智の肩を掴んだ。
「そんな怒んなくたって
いーじゃん、ね?」
ちゅっと額にキスしてから
また目を合わせた。
そしたら、決まりが悪そうにした
智がいた。
「ね、ごめんって。
ヤキモチ焼いてくれる智、
可愛いからさ?」
「しっ、知らねーし」
ぷいっと目を逸らして
俺の腕からすり抜けた。
