
甘く、苦く
第67章 大宮【just a little】
「あっ、おいこら」
「ニノなんて知らないもん」
ほんとガキだな、なんて
溜め息つきながらも、
そんな智が愛おしくて。
「ごめんって。
智、ごめんね?」
「っ……んんぅ…」
舌と舌を絡ませて
智をソファーに押し倒した。
智を見下ろしてると
顔を真っ赤にさせてた。
その顔を隠すように、
両腕を顔の前に置いてる。
そんなひとつひとつの仕草も
愛おしくって。
どうしても、
俺だけのものにしたくて。
「智、それ可愛いだけだから。
…あほ。」
「んなっ!あほじゃねえ!」
ぷくっと頬を膨らませてから
俺に抱きついた。
…結局はアンタも俺のことが
好きなんだよなぁ……。
「…智、」
「…なんだよ」
「ほんっと可愛いなあ」
「っ!!」
秒で智が俺から離れた。
…ふふ、ほんっとに
可愛いんだから。
「もうっ!
ほんとにニノなんか知らない!」
コートを掴んで
楽屋を出ていった智。
俺はそれを追いかけて
ロビーまで走ってしまった。
「…ったく、なに考えてんだよ。
走るとかありえねーし」
「…知らない」
…あ、なんかリスみたいだ。
そう思って頬を撫でたら、
また怒られた。
