
甘く、苦く
第67章 大宮【just a little】
「ね、智も…つけて?」
「へっ?」
「キスマーク、つけて?」
ニノが俺の腕を引いて
お腹の辺りを指さす。
き、キスマークってそんなん、
したことないよ…
ニノはよくしてくれるけど
俺は…わかんないよ。
「ちゅって吸うだけでいいから、」
「わか、った。
変だったら、言ってね?」
「ん、」
ニノの少しだけふんわりとしたお腹に
ちゅっと口付けてから、
軽く吸ってみた。
…これで合ってるのかな…?
とか思いながら、
ちゅうちゅう吸ってたらニノが
「…ふふっ、くすぐったいってえ。
もういいよ、智。」
なんてすげー愛おしそうに
頭を撫でてきた。
そしたら恥ずかしくなって
ニノからすぐに体を離した。
「…ふふ、まあ一応ついてるからいっか。
お疲れ。智」
「やり方、わかんないし…」
俺が唇を尖らせて
そっぽを向いたら、
ニノに顎を掴まれた。
キスされるのかなって
少しだけ期待してた。
けど、ニノはしないで
そのまま俺の顔を見てた。
「な、なんだよ…
するならしろや。」
「…ふふ、綺麗な顔だなって
思ったからさ? 」
なんて、笑うんだ。
