
甘く、苦く
第67章 大宮【just a little】
「うん、上手…きもちいいよ」
そんなこと言いながら
頭を撫でてくれるから。
俺はまたニノを好きになる。
それから、耳元で「愛してるよ」
なんて囁く。
いつもされることだけど
今日はなんだか恥ずかしくて。
「…智、俺の触ってるだけなのに
感じちゃうの?」
「智、これ欲しい?」
「…えっろい顔してる…可愛い…」
俺の欲しい言葉を
全部言ってくれるニノ。
少しだけ。
少しだけだよ。
ニノの従順な犬だから。
俺はニノの犬。
だから、全部従ってあげる。
「…智、力抜いてね?
痛いからね?」
「ね、はやく…っ」
すっげえ焦らされて
もうそういうことしか考えられなくなる。
ニノはこういうのうまい。
ずっとずっと前から。
きっと付き合う前から…
俺の知らないニノなんて、
たくさんいるんだ。
