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甘く、苦く

第68章 櫻葉【snow flake】

相葉side



…ふふ。

翔さんの焦った顔、
やっぱり可愛いなあ。

なんて思いながら毎日
自転車を漕ぐのは当たり前になってた。


翔さんと暮らすアパートからは
俺の大学はちょっと遠くて。

翔さんと同じ大学がよかったけど
俺にも将来の夢ってのがあるからね。うん。

推薦取れたのもここだけだったし。

…でも、絶対叶えたい夢だから。

翔さんも応援してくれてるしね。


「きっつ…」


毎日毎日、この急な坂との
バトルが始まるんだ。

下りたら負け、下りたら負け、…って
心の中で唱えてる。

え?なんかの宗教みたいだって?
へへ、そうかもしれない。

ずーっとずっと、
そんなこと考えてたら、
もう大学はすぐそこ。

ついたぁーって思って、
自転車をおりたら、
いつもの面子。


「あ、和。」

「…おっそ」

「遅くないってぇ。
いつもと同じだよ?」

「お前は5分の誤差を同じと言えるのか。」

「んもぅー、5分だけでしょ、
5分!!」

「…そんなこと言ってたら
先生になんかなれねーな

ま、俺はなれるけど?」

「なっ!!
もー!うるさいっ」


和のうるさい口を手で押さえて
大学まで引き摺るようにつれてく。

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