甘く、苦く
第68章 櫻葉【snow flake】
グツグツと静かな部屋に
響く音。
……翔さん、まだかなぁ。
お風呂に入ったっきり、
出てこないや。
「まだかなぁ…」
はあっとこっそり息を吐いて、
気晴らしにでも、と思い
テレビをつけたけど。
…うるさいなぁ、なんて思うだけで
気晴らしになんてならなくて。
……離れてる時間が
こんなにも惜しくて。
寂しくて。
ぱたん…と音が聞こえたと思えば
肩にタオルをかけた翔さんがいて。
「ぅおっ、雅紀、どうした?」
「…寒いから、」
「風呂入ってこいよ〜」
「…翔さんであったまりたい。」
「…ふふ、可愛いヤツめ」
「しーらない」
翔さんから離れて、
ふふっとふたりで笑いあって
キスをして。
翔さんがちゅっちゅと
啄むようにキスするから
だんだん恥ずかしくなってきちゃって。
「も、終わり…」
って呟けば唇を尖らせてる。
「…続き、夜シよ」
って俺が言えば
翔さんの口角が上がった。