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甘く、苦く

第16章 磁石【ウソつき】

二宮side

翔さんが倒れた。


「翔さんっ!翔さんっ!」

わたしは、何が起こったのかいまいち理解できなかった。


「ニノ!」

相葉さんがわたしをぎゅっと抱き締めた。


「相葉……さん…ふぇっ…しょ、さんが…」
「うん、病院いこう。
みんな、先にしてて!俺たちは、病院つれてくから!」
「あ、ありがとう!あ、マネージャさん?
このあとの予定、キャンセルしといてください。」

みんな、テキパキと動いてるのに、わたしだけは…





「しょぉさぁぁぁぁぁん…」

ときどき動く翔さんの手を握りながらわたしは泣いていた。

「も、ごめんなさっ、こんなになるまで…ふぇっ…」

わたしが翔さんの手を握ると、翔さんの手はぴくんっと動いた。



「起きてよぉぉぉ…」
「…ニノ……そろそろ…」

わかってるよ。


でも、翔さんから離れたくないんだよ…


「ニノ?行かなきゃ、俺たちは心配しないで行こ?」

心配しないで?


そんなの、無理だよ。



「翔さんをおいてくの?無理。
いくなら、相葉さんだけでいけば?」


今は、今だけは離れたくない。


「じゃあ、マネージャさん呼んどくから来たら、ニノ、帰るんだよ。」
「うん…」

マネージャーさん、来ないで…



この時間を、邪魔しないで……


わたしはそんなことを思いながら翔さんの手を握っていた。

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