甘く、苦く
第68章 櫻葉【snow flake】
…もう、止まれそうにない。
こんなに淫らで卑猥な翔さんを
見ちゃったら、止まれるわけがない。
「もうっ…どうなったって知らないからっ、」
「ぁっ、…入って、きたぁっ…」
蕩けた声が耳を犯す。
荒い息遣いで、上目遣いで。
俺のこと全部わかってるみたいに
こっちを見るから。
…ほんと俺、
どうにかなっちゃいそうだ。
こんなに可愛い翔さんを見れて、
声が聞けて。
「…ん、んん、」
「翔さん、好きだよ、すっごい好き、」
俺もだよ、って言ってくれた
翔さんの顔がいつもに増して
綺麗で。
出逢った頃を思い出した。
不純な動機で始めたバイト。
一週間に一度だけ同じの帰り道。
付き合って初めてのデート。
…全部、特別なんだ。
俺だけの翔さんの。
この表情を見せるのも、
俺だけだよね───…?