テキストサイズ

甘く、苦く

第68章 櫻葉【snow flake】

相葉side




「俺、も、雅紀が…一番だよ。
こんなに、好きになったの…
ほんとに初めてだからっ。

俺もずっと一緒に、いたいっ
雅紀以外なんて、考えらんないし、
考えたこともないよ…?」

「…うん、ありがと。」

「…雅紀が、好きだよ…
もうほんと、おかしいくらい。

でもね──…」


湧き上がる想いを伝えようとした時、
目の前の翔さんが俺に抱きついてきて。

「…ほんとは、こういうふうに
もっと一緒に出掛けたり、したい…です、」

…え?


潤んだ瞳が俺を捉えて離さない。

それから、少し頬を染めて

「我儘言ってるのは、
わかってるけど…けどね、
ほんとはもっと一緒にいたい…」

「しょ、しょうさ──…」

「だめ…?」


俺の顔色を窺ってこちらを見つめる瞳と
視線が絡まる。

その瞬間、今まで感じたことのない
胸の高鳴りと締め付けに見舞われた。

…か、顔…ち、近いっ…


バクバクと聞こえちゃうんじゃ
ないかってくらい、うるさくって。


「俺だって…もっとこういうことしたい…」

指を絡ませて、
翔さんを見つめる。

「…うん、」

「…もっともっと、
こうやってふたりで
出かけたり、デート…って言うのかな?
したいよ…?」

「うん、」


絡まったままの指と視線。

冷えた翔さんの指と手を
優しく包み込むように握ってから
ゆっくりと顔を近付けた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ