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甘く、苦く

第73章 磁石 【move on now】session 5






「あったけー…」


大人ふたりが浴槽に浸かってる
シュールな絵面。

…傍から見たら変なヤツら。


普通だったら、こんな狭い浴槽に
男ふたりなんて気持ち悪ぃ。


「あー、二宮の肌すべすべで
気持いーなぁ…」

「おっさんみたい笑」

「もうこの肌ずっと触ってたい…」

「え、削られそう。」

「なわけあるか笑」


翔さんが俺の方に頭を預けて
俺の顔を覗き込んだ。


「綺麗な目ぇしてんじゃん。

…それに、髪の毛濡れてると
やっぱ色っぽいね。」

「なっ…」


恥ずかしくなって体を離そうとしたけど
こんな狭い浴槽じゃ、
身動きひとつ取れない。


そのまま、翔さんの顔が近付いて、
ちゅ、と短いリップ音が響いた。


「っん…」


いつもよりしっとりとした唇が
ゆっくり離れる。


…あぁ。

この瞬間がずっと続けばいいのに。


キスの余韻に浸っていたら
また唇が触れた。


何度も何度も…何度でも。

キスしていたい。



何度目かのキス。

翔さんの顔が真上にあった。


びっくりして固まってたら、
ぷって吹き出す声。


「ぶふっ…なにその顔。
ウケるんですけど笑笑」

「ひゃっ…」


首筋に顔を埋められて、
やっぱり、どうしようもなく
体が熱くなってしまう。

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