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甘く、苦く

第73章 磁石 【move on now】session 5






寝室のドアを開ければ、
すぅすぅと小さな寝息を立てて、
眠ってる二宮がいた。


「…ぅ、んん、」


ベッドに潜り込めば、
二宮がころんと寝返りを打って、
俺の胸板に顔を埋めてきた。


その仕草にきゅんっときて、

思わず抱き締めたくなる。

だけど抱き締めたら、
起きちゃうから。


小さな肩を抱き寄せて、
俺も寝ようと思って目を閉じた。


眠気はすぐにやってきて、
意識は遠のいていく。







「……んん、くるし…」


微かに聞こえたその声に
うっすらと目を開ければ、

二宮が瞳を潤ませて
こっちを見ていた。


「翔さ…痛い…」

「ごめ、」


んんー、って
顔をまた埋めるから、
抱き潰したくなる。

一生、このままでいいのに。


「キス、したい…」


薄く開いた口から、
ヤケに素直な言葉が出てきて。


「うん、しよ…?」


腕枕してるから、
俺からは動けなくて。


「二宮から、して…?」

「…うん、」


薄く開いた唇に、
細い舌が入り込んできた。

…キスって、そっちかよ…

なんて思いつつ、
二宮の頭を押さえる。


「ん、んん、…ん、」


どっちのかわからない涎が、
俺の腕に垂れてて。


「…ふ、んは、」


…あ、やべ…。


「…二宮が可愛すぎて、
勃っちゃったんだけど…」

「…ふぇ、な、なに言って…ぁ、」

「…シちゃ、だめ…?」


ちゅ、とゆっくりキスすれば、
暗闇の中でもわかるくらい、
顔が熱くなってる二宮。


「だめでは、ない…」

「シていい…?」

「…いやじゃ、ないから。…いい、よ。」


また、きゅんっとして
目の前にある唇を貪った。

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