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甘く、苦く

第73章 磁石 【move on now】session 5

櫻井side



目覚ましのせいで起きた。


…あ。

…今日まだ、
二宮が起きていなかった。


ラッキー、かも。


「んんぅ…」


寝返りを打って、
二宮の顔が見えなくなる。


…あーあ。

あの天使の寝顔を、
もう少しだけ拝んでいたかったのに。


……やっぱ昨日、
負担かけちゃったんかな、とか。

でも朝からこんなに可愛い姿見られたら、
逆によかったかもな、とか。


いろいろ考えてるうちに、
寝てる二宮がもぞもぞし始めて。


「しょ…さん……?」


って、虚ろな瞳でこっちを見ながら
ぽそっと小さく俺の名前を呼んだ。


「いま、なんじぃ…?」

「うーん、7時過ぎかな…?」

「……へ?」

「だから、7時過ぎ」

「…っえ!!
も、そんな時間!?ごめん!
なんも作ってな──…」


二宮がバタバタし始めたから、
ぎゅっと後ろから抱き締めた。

そのまま、首筋にキスをして。


「いーよ、そんなの。
こうやって二宮と
いちゃいちゃしてる方が、
俺的には嬉しいけど?」

「ぁ、や…」


小さな抵抗を見せたが、
すぐにそんなの消えて。

すぐに頬を赤らめて、
目を瞑って。


「…キス、したいの?」

「…うん、…ん、」


ゆっくりと唇を離してから、
また二宮を抱き締めた。





「──────…遅刻、するよ。」

「いーよ、そんなん。」


いや、よくねえけど。

超高速スピードで準備すりゃ、
問題ない問題ない。

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