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甘く、苦く

第73章 磁石 【move on now】session 5






「…バカ…」

「ん?」

「バカって言ったの。バカ。」

「んだと。」

「バカ。変態。」

「地味に傷付く。」

「朝から俺の寝顔見てキスして
遅刻しそうになってんじゃん。変態。」

「変態あんまし関係ねーぞ。」

「へんたーい。」


楽しそうにケラケラ笑いながら
そんなこと言うから。

エプロンをかけてる二宮を
正面から抱き締めてやった。


「…っ!?」

「もう変態でもなんでもいーわ。

この変態に付き合ってくれよ、
二宮。…なあ?」

「ぁ、だめだって…」

「だめじゃない。
だって俺変態だし。」

「や、耳…っ」

「弱いんだっけ、ここ…」

「もっ、ほんと、怒るよっ…!
遅刻、するしっ…」

「知らねー」

「ね、やぁ…」


耳朶を口に含んで遊んでたら、
二宮の体から力が抜けて。

そんでもって、
またぺしぺし叩かれて。


「も、朝ご飯作んないっ…」


って、
顔真っ赤にさせながらも
冷凍食品をチンして出してくれるあたり、
俺のことがほんとに好きなんだな、って思う。

自惚れなんかじゃないぜ?

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