
甘く、苦く
第74章 お山【miss your voice.】session 1
「はっ…ふ、え…えと…」
「俺の声に惚れたんだ。
不思議な人だね。」
「え、えと、…友達にっ…」
言いかけて、
彼に壁際に追い詰められてることに
今更気付いた。
震える唇に、
働かない頭。
「あ、あのぅ…」
「友達、ね…。いいよ、なろうよ。
ただし…」
条件付きだけど、いい?
って、少し意味深な言葉。
大好きな彼に近付けるんだ。
そんなの…決まってるよ。
「…どんな、条件…?」
「毎日、この教室に来てよ。
放課後でいいから。」
「…ふぇ?」
思っていた感じと違くて、
変な声が出てしまった。
ほら、もっと…
なんか奢ったら、とか
パシリになったら、とか。
(↑そういう系の考えしか頭にない人。)
「それだけで、いいの…?」
「あぁ、いいよ。
それから…俺のことは誰にも
言わないでくれる?
必要以上に詮索もしないで欲しい。」
どうしてだろう、と考える前に、
いい?と彼に念を押されたから。
後先なんて考えず、
頷いてしまった。
