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甘く、苦く

第74章 お山【miss your voice.】session 1

櫻井side



俺より、アイツらを選んだ。


あぁ、そうだ。

所詮は人間なんてそんなものだ。


……違う。

大野は違う。

そんな人間じゃない。


今日だってきっと、
理由(ワケ)があったんだろう。


俺とばかりいても、
楽しくない。

そうは感じさせなかった。


むしろ、もっといたいと。

そう感じさせる瞳をしていた。


だが、大野にも大野の事情がある。


友達とは厄介なものだ。

どこからどこまでが
友達として踏み入っていい線なのか。

それは恋人も同じだ。


……あぁ、なんて曖昧なんだろうか。


俺は、大野のどこまで
踏み入っていい…?

どこまでなら許される…?


なぁ、大野。

この無知でバカで鈍感な俺に、
教えてくれよ。



…自分で思っていて、
呆れてしまう。

弱いのは、俺だって同じだ。

大野ばかりではない。

誰の前でもそうだった。


…誰の前でも俺は弱い。

それは今も昔もいつまでも
同じなのだろう。

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