
甘く、苦く
第75章 櫻葉【ANSWER.】
そしてどうも俺は、
おかしな性癖を持っていた。
(雅紀を穢したい。)
いつしかそう思うように
なっていたんだ。
なにもかも、
奪い去りたい。
俺だけのものにして、
俺じゃなきゃ生きられないような
体にして、一生添い遂げる…。
そんな、
おかしな性癖を持っていた。
愛しいものほど、
穢したいのだ。
…唆られる。
雅紀はそんな俺にはピッタリだった。
…今日こそ、俺は───
俺は雅紀のすべてを奪う。
「…雅紀?」
ドアをノックして、
控えめに声を発する。
「なにー?」
部屋から声がしたから、
意を決してドアノブを回した。
勉強をしているようで、
背中を向けたままだった。
きっとさっきの俺も、
こんな感じだったのだろう。
「…さっきは、すまん。」
「っ……平気、だよ。
俺も悪かったし。」
へへ、だなんて笑い、
俺へその顔を向ける。
その瞬間に、唇を奪う。
一瞬、唇を離し、
雅紀を見つめる。
困惑の表情を浮かべ、
俺を凝視する。
…あぁ、その顔だ。
もっと…見せてくれ…
「あにっ…いたっ…」
俺は無言のまま、
雅紀をベッドに投げて、
嫌がる雅紀のスウェットに手をかける。
ズボンを勢いよく下ろしてから、
上半身に手を這わせる。
擽ったそうに体を捩らせ、
水分の多い瞳をこちらに向ける。
…そんな顔したって。
お前は、綺麗なんだから…
