
甘く、苦く
第75章 櫻葉【ANSWER.】
それから俺は、
何度も何度もその行為を繰り返した。
直に、もっと。もっと。と
強請るようになったが、
俺は決してそれ以上はやらなかった。
…もっともっと
おかしくしてやる。
俺しか考えられないほど。
「兄貴、ね、もう、シて…?
俺、もう…おかしくなる…」
きゅっと服の袖を掴まれ、
潤んだ瞳で見つめられる。
…まだダメ。
「…お前とんだ淫乱だな。」
そう、屈辱的な言葉を投げて、
俺は雅紀の部屋を出る。
部屋に戻ってすぐするのは、
雅紀の部屋を盗聴すること。
『ぁあっ…翔、ちゃっ。』
…そうやってまた、
昔呼んでたみたいに
俺のことを切なそうに呼ぶ。
翔ちゃんから、兄貴になったのは、
中学に上がってからだ。
『ぁんっ……欲しっぃ…』
そんな雅紀の喘ぎ声を聞いて、
俺は一人でする。
この背徳感が堪らない。
ぞくぞくするんだ。
やがて隣の部屋から
何も聞こえなくなり、
終わったのだと一息。
「…翔っちゃん、」
突如聞こえたその声に焦り、
振り返れば
下半身素っ裸で、
上はワイシャツが
肩からずるりとはだけていた。
「も、俺ね、ほんと
おかしくなっちゃった…
翔ちゃん、なんとかしてよ…
こんなえっちな俺にしたの、
翔ちゃんでしょ…?」
ぎゅっと抱き締められ、
深く口付けられる。
「まっ、雅紀───」
「ねぇ、翔ちゃんが欲しい…」
ぞくり、と
体全体に電流が走った。
「雅紀待って…」
「なんで?
翔ちゃんも欲しいでしょ?」
雅紀に腰を持たれて
必死に抵抗しようとしても。
全然、ビクともしない。
「もう俺のココ、
翔ちゃん欲しいって言ってるよ…?」
挿れるね、なんて
芯を持ち始めた俺のソレを持ち、
雅紀は自ら腰を沈めていく。
