
甘く、苦く
第75章 櫻葉【ANSWER.】
行為が終わったあと、
雅紀の顔は真っ赤になっていた。
少しだけおちょくると、
またすぐに顔を赤くする。
「っ、翔ちゃ、…兄貴がヤラシイから、
俺もヤラシくなっちゃうの!」
なんて、
否定的な意見を並べる。
そんなところも可愛いから
いいんだけど。
「…ねぇ、雅紀?」
「っ、なに?」
「…ふたりっきりのときはさ、
翔ちゃんって呼んでよ、昔みたい。」
雅紀の頬を手で包み、
返事より先に唇を奪う。
柔らかく、熱い。
ちゅ、と厭らしい音を立てて離れる。
どちらも目が合うと、
顔が赤くなる。
幸せ、だ。
……そうか。
俺の求めていたものは、
きっとこれだったんだな。
他にはない安心感と、
これまで雅紀以外に抱かなかった独占欲。
…あぁ、そうか。
やはり俺は、
重大な罪を犯してしまった。
兄弟の、恋愛だなんて。
許されないのに──
許されないからこそ、
余計に楽しくて仕方がないんだろう。
