テキストサイズ

甘く、苦く

第76章 末ズ【Please Kiss Me.】






(軽…。)


ここで寝かせるのは
可哀想だと思い、
寝室まで運ぶことにした。

…軽すぎ。
ちゃんと食ってんのかな。


そんなふうに、
好きな人だから余計に心配になる。

世話焼きで、鬱陶しいかもしれない。


それでも、
好きな人だから。

気になって気になって、
仕方がないんだろうな。


「……ん…」


一瞬だけ、漏れた吐息。

ニノの声だと、吐息だと
思った途端に、緊張してきた。

別に、変なことしてるわけじゃない。

なのに、汗が出てきた。


…あぁ、今夜は危険だ。

俺は俺自身の気持ちとの
葛藤となるだろう。


「…おやすみ。」


できるだけ音を立てないように、
寝室を出た。

足音さえにも、気を配る。


ニノが、俺の布団で寝てる。

……やばい。


想像以上に、やばい。


溢れ出る気持ちを堪えて、
少し冷たいシャワーで
頭でも冷やそう。

それがいい。


「…はぁ……」


シャワーを浴びていても、
脳裏にチラつくニノの顔。


無防備に開けている胸元。
年季の入った靴や靴下。
だるだるのジーパン。


…どれもこれも、全部…

全部そうだ。

全部、相葉くんからのプレゼントだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ