
甘く、苦く
第76章 末ズ【Please Kiss Me.】
胸が締め付けられた。
だって俺は…
どうしたって俺は…
ニノの一番に、なれない。
いつだって、
ニノの中心は相葉くんで、
ニノの瞳に映るのは相葉くんで…。
俺の入る隙が、
どこにもなくって…
苦しい、苦しいけど…
ニノが好きだから…
バカみたいにニノが好きだから…
寝室に入れば、
無防備に寝てるニノ。
そのニノに向かって、
「…好きだよ……」
こんな、卑怯な真似したくないけど。
今だけは、どうか許して───
ニノの唇に、
優しく自分のを重ねて。
華奢な肩を引き寄せて、
もう一度。
「好きだよ…」
こんなこと
したいわけじゃないよ。
ただ、どうしても…
どうしても今の俺には、
こんな卑怯なことしかできない。
情けなくて、
自分が嫌になる。
そんな自分から逃げるように、
ニノの華奢な肩を引き寄せて
瞼を閉じた。
