
甘く、苦く
第76章 末ズ【Please Kiss Me.】
自分でも単純だな、なんて思う。
少しだけの文。
それだけなんだ。
誰にでも送っているような文だろうけど、
和からだと、余計に嬉しい。
他の誰にこの文章を送っていてもいい。
だってもう、勝ち目がないことくらいは
当分前からわかっていたんだから。
「…あ、」
そうだ。
これを口実に、また飲みに誘っては…
いや、やっぱり宅飲みの方がいいな。
家でやった方がリラックス出来るし…
それに…和の無防備な姿も、全部見れる。
気持ち悪いかもしれないけど、
それくらいしか俺には出来ないからさ。
『そうだね。また今度飲もう。
楽しみにしてるよ!』
こんな簡単な文章しか思い付かない。
…もっと勉強しとけばよかったかな。
なんて今更後悔。
弱ったな…。
この文章を送るだけで、
俺は相当緊張しているぞ。
…好きな人に送る文章だし、
そりゃ緊張はするか…
