甘く、苦く
第17章 じいまご にのあい【キミとなら】
「潤、これやる。」
「え……?いいの!?」
翔くんから貰ったのは映画のチケット。
「リーダーといきな。
リーダー、潤が構ってくれないんだよぉって言ってたもん。」
「ふっ……」
翔くんのモノマネが上手すぎて、つい、笑ってしまった。
「ありがとう。
行ってくるね。」
「おうっ!」
翔くんは爽やかな笑顔を向けてくれた。
「智!」
「あ、潤。
どうしたの~?」
ほわほわーっとやわらかい笑顔を向ける智。
「明日、オフでしょ?
映画、いかない?翔くんからチケット貰ったんだ!」
「いいね。行こっか。」
智と明日の打ち合わせをして、家に帰った。
「明日、どうしよう。
なに来ていこうかな……」
そわそわしてたら、翔くんから電話が掛かってきた。
「潤~?
リーダーとのデート頑張れよ~。じゃ。」
「えっ?!」
切れた…
俺、なんも言ってないんですけど……
まあ、翔くんらしいや。
「よしっ!準備完了!
あとは…寝るだけ!おやすみっ!」
誰に言ってんだ?
って内心突っ込みながらも、眠りについた。
「潤~!」
「おはよう。智。」
智はたーっと走ってきた。
で、こてっと転んだ。
「大丈夫?
もう、歳なんだから気を付けなさいよ。」
「うー、転んだの、いつ振りだろう……」
擦りむいてないみたいだし……大丈夫そう。
「なに観に行くの?」
「いやー、それがさー、翔くんから貰ったの、
まだ、見てないんだよね。見ていいよ?」
智にチケットが入った袋を渡す。
「えっとね、ディズニー系だね。
あはは、こりゃ、翔ちゃん観ないや。」
いや、俺も観ませんけど?!
でも、智と一緒ならいいや。
「潤も、こーゆーの観ないよね。」
「え、あ、うん。」
そりゃあ、観ませんよ。
翔くん、無理矢理押し付けたな……!!!
「潤~、真ん中の席だよー!」
喜びたいんだけど……智は全然、変装してきてないじゃん。
翔くんのお忍び旅行みたいに、すぐ見つかったらどうすんの?
「帽子、被って。」
「わっ!でかっ!」
そこまでかわんないと思うけど……
そんなことを思いながら席についた。