甘く、苦く
第78章 にのあい【Shine.】
買い出しに行こう。ってなって
相葉さんの車に乗り込む。
助手席はキープ。
「あっつぃ〜」
「…そう?」
日差しの鬱陶しさも、感じない。
止まらないうるさい心臓と、
俺の汗と…相葉さんへの気持ち。
「じゃあニノ、適当に買ってこよ。
迷子にならないでよ?
それから、変な人に
身バレしないようにマスクして。
変な行動もしないでね。あと────」
「あーもうっ、わかってるよ。
俺そんなに子供じゃないでしょ。」
相葉さんが世話焼きなのは知ってる。
…それも、俺だけに、特別世話焼きなのも。
いじけたような顔をして、
相葉さんが
「ニノが心配だから言ってるの。
ニノが好きじゃなきゃ、
こんなこと言わないもん…」
なんて、しょげちゃってさ。
……あぁ、もう、めんどくさいんだから。
「…知ってるよ。」
知ってるから、嬉しいんだ。
でも、言わなくても知ってるから。
だけど、言われると嬉しいから。