甘く、苦く
第78章 にのあい【Shine.】
充分に慣らしたところで、
相葉さんの指が抜ける。
ふぅふぅと肩で息をしてる間にも、
せっせと作業は続いて。
棚に手を伸ばそうとした相葉さんの腕を、
ぎゅっと抱き締めて。
少し上目遣い気味に、
潤んだ瞳でこう言うんだ。
「…………今日、は、要らないから…」
「…え?」
相葉さんの方が、困った顔をしてる。
そんな顔、しないでよ。
「今日は、つけなくていいから…」
「───でも…」
「…俺が、そうしたい……です、」
せっかく作り上げたムード。
台無しになってしまう?
そんなことない。
だって相葉さん、
すごいわかりやすいんだよ。
顔、緩みきっちゃってるじゃん。
「でも、ニノの体の方が───」
「俺が、したいって言ってるの…
もう、言うこと聞いてよ。」
相葉さんが戸惑いの表情を浮かべて、
少しうーん、だなんて唸って考えたあと。
困ったように眉を下げながら
「仕方ないな。」なんて。
…本当は相葉さんも、
嬉しくて仕方がないくせにね。
やっぱり俺ら、
似た者どうしかもね。