甘く、苦く
第80章 にのあい【愛 think so.】
どくんどくんと脈打つ心臓。
それだけ俺も、ニノを愛してるってこと。
「…っんで、…ぅきっ……て、…ないのぉ…」
ニノが途切れ途切れの言葉を並べて、
なにかを言いたそうに泣いている。
ぽろぽろと零れた涙が、
シーツを濡らしていく。
「ニノ?…んっ…」
ぐいっと俺の首に手を巻き付けて、
俺の体を引き寄せた。
それで、耳元まで口を寄せてきて、
震えた声でこう言ったんだ。
「 す き 。 」
ぞくぞくと背中に
電流が走ったみたいになって、
なにも考えられなくなりそうになった。
「だから、俺のことも、
すき…て、いって…?」
「ニノ…」
「いって、くれないの…?」
うるうるとした瞳で見つめられ、
言葉を詰まらせていると、
ニノからキスされた。
柔らかい唇が心地よくて、
汗で湿ってしっとりとした肌も。
…あぁ、もう。
どこまで俺を狂わせるんだよ。
「…俺は、好きの度合いが違うの。
俺は、愛してる、…だから。」