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甘く、苦く

第82章 末ズ【Omens of love.】




会いたいって気持ちは
和の家が近付く度に募る。


車から降りると、
生温い風が頬を撫でる。

もう少しで、和の家だ。


合鍵でそっと玄関に入る。
和をびっくりさせたいから、
音は立てないようにして歩く。


「…まだかなぁ。」


ふと、聞こえたそんな声。

そっとリビングを覗くと、
ローテーブルの上には
まだ空いていないビールの缶がふたつ。

きっと俺と和の分だ。


「……お待たせ。」


ぎゅっと和の丸まった背中に抱き着くと、
小さく声を上げて。


「…潤くん…?」

って、瞳をきらきらさせて
俺を見つめた。


…うわっ……。

色白な肌に、赤くなった頬。

「…ん、ふぁ…」


堪えきれなくなって、
キスをした。

フレンチキスみたいな軽いのじゃない。

だって、早く和に会いたかったから。
早く、触れたかったから。

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