
甘く、苦く
第82章 末ズ【Omens of love.】
二宮side
もうすぐ潤くんの誕生日。
俺の誕生日の時はして貰ってばっかりだから、
今回は頑張ろうって気張ってたんだけど。
結局、俺は受け身だから潤くんに
されるがままで。
行動に移せないまま、
日にちだけが過ぎていった。
「はぁーあ…」
「ニノが溜め息なんて珍しいね。
どうしたの?」
「…ぁ、翔さん…」
声のした方を振り向けば、
「よっ」と軽く手を上げる翔さんがいた。
「…松潤の誕生日?」
「はい、そうなんですけど…
祝ってあげたい、って気持ちはあるのに、
なかなか行動に移せなくて…」
「ふ〜ん、で?」
「で、って…。
どうすればいいのかな、って。
俺、潤くんの恋人なのに、
潤くんのことなんにもわかんなくて…」
「そっかぁ…」
よしよし、だなんて頭を撫でられて、
また、溜め息。
年に一度の大切な日。
俺、潤くんに何が出来るんだろ。
「…思い切ってさぁ、」
「うん?」
「旅行とか行けば?なんつって。」
「…旅行かぁ。でもお金かかるよ?」
「じゃあ松潤の好きなものとか
作ればいいじゃん?」
「好きなものか…
大野さんみたいに器用じゃないから
俺じゃ無理だな。」
「じゃあ普通が一番なんじゃね?
誕生日ケーキとか作ってさ。」
「…ケーキかぁ。」
ケーキくらいなら、作れる気がする。
…潤くんはどんなケーキが好きかな…。
って、あれ…?
俺、潤くんのこと何一つ知らないじゃん。
