
甘く、苦く
第82章 末ズ【Omens of love.】
松本side
驚かせたかった。
和は、怒るかな。
それとも、やだもー、なんて言いながら
嬉しそうに笑うかな。
そんなことを考えながら
事前に用意していたものを受け取り、
和の家まで向かう。
最近、暑くなったと思えば、
涼しくなったり。
そんなふうに繰り返していた。
和は体調を崩していないだろうか?
今日はあの日みたいな熱帯夜と違って、
比較的過ごしやすい。
晩酌を交わしながら、
和と思い出を語ろう。
あんなことあったね、なんて笑いながら。
いい具合に酔いが回ってきたら、
コレを渡すんだ。
さり気なく、そっと。
…和はどんな顔するかな。
俺からのプレゼントなんて、
数える程しかない。
喜ぶ和の顔を想像するだけで嬉しくなる。
早く、着かないかな。
