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心の中で、
もう一人の俺がずっと語りかけてくる。


────自分の気持ちに正直になれば。

楽なことは知っている。
楽だけど…

────何も始まらないよ。

それも知っている。

────じゃあ、どうして？


「……わかんねぇよ…。」


“好き”って気持ちを伝えるのは、
簡単なようで難しい。

歳を重ねるごとに
伝えづらくなるんだ。

無邪気で笑いあっていた頃、
“好き”だなんて平気で言い合えた。


────バカみたい。

…知っている。

────本当は好きなくせに。

…わかってる。

────素直になればいいのに。

期待したくないから。



もう、辛い思いなんてしたくないんだ。

もう、恋なんて…


恋なんて、懲り懲りだ。


そんなことを思っていても、
心の中ではずっとずっと
葛藤し続けていた。


恋をして、傷付くことに、
意味があるのか？

所詮は、独り善がりだ。
全部綺麗事だ。

そんなにうまくいくはずなんてない。


────マイナス思考は、悪い癖。


答えなんて、見当たらない。