甘く、苦く
第85章 大宮【スフレ】
「うーっ…寒いい…」
あーやだやだ。
秋のくせに寒い。
それで冬が来たらまた寒くなんの?
ほんとおかしい気候だ。
早く帰りてぇな。
あっ、そうだ。
どうせもうこの時間だし、
夕飯と一緒に明日の朝飯でも買おう。
今日は作りたい気分じゃないし。
「あー、さみい…」
…ふと、視線に入った光を放つ自販機。
「うぇ、たけぇ…」
…コンポタうまそうだな。
…でも、たけぇな。
…でも、……でも。
ー ゴトンッ ー
「っあつ、」
熱いくらいが、ちょうどいい。
プルタブを軽く引っ張り開ける。
湯気が空に浮かんだ。
あー、うまそ。
「…ん、うま…」
…自販機のコンポタも、
捨てたもんじゃねえな。
「あー、うめぇー…」
さっきから一人でブツブツと言ってる
変人だと思われてもいい。
それにしても…今日の和の様子は
なんだかおかしかったな。
やっぱ恋愛がうまくいってないのか?
まっ、今度相談にでも乗ってやるかぁ。