甘く、苦く
第85章 大宮【スフレ】
二宮side
おかしい。
最近の俺はおかしい。
おかしすぎる。
「…なんだこれ、」
智のアホみたいな顔を思い出す度に
どくんどくんとうるさいほど脈打つ鼓動。
見慣れた顔。
俺のベッドの上でスマホをいじるのも、
本を読むのも、全部慣れてんのに。
いやそりゃ、俺だって男だ。
しかも今は飢えてる。
そして仕事が忙しい。
…あぁ、ただ欲情しているだけだ。
生理現象だ。
仕方ない。
なのに、なんで────…
あんなに、俺は智のことを
意識してしまうんだろうか。
ただの友達なのに。
……あれ?
“ただの友達”なら、
どうして欲情してる?
つまり俺は、智をそういう目で見てる?
……おかしい。
おかしすぎる。
だめだ。疲れているんだ。
今日はもう寝よう。