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甘く、苦く

第85章 大宮【スフレ】




「またそのうち…」


明日以降の約束はする気はない。


「…そのうちって…
連絡、してよね。」


まだ不服そうな智を見つめて
ふっと頬を緩ませた。

そんな俺を見て、不機嫌そうに
首を傾げて

「なんなの…」

と呆れたような声を出す。


はぁーあ、と大きな溜め息。

智の肩に触れようとしたけれど、
直前で躊躇ってしまった。


「…また、そのうち来るから。」

「……待ってるから。
…でもできるだけ毎日話したいよ。俺は。」

「俺そんなにマメなヤツじゃねえよ?」

「いーからさぁ……ほんっとに鈍感…」


肩を落として、
やれやれと首を振る。

そんな姿も愛おしい。

でも今、そんな事言ったら
絶対に殴られる。


「…ん?」


ぐいっと服の袖を
引っ張られたと思えば。

智がんっと唇を突き出してきた。

わけがわからなくて、
何も出来ない俺に、

「キス、でしょ。
雰囲気的に。察しろバカ。」

と、悪態をついてきた。


「はいはい、察する能力なくて
すいませんねー…」


ぐっと智の顎を思い切り掴んで、
深くキスをした。


「ふっん、ぅん、」


合間に漏れる吐息が、
なんだか擽ったく感じる。

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