甘く、苦く
第87章 にのあい【この距離がどうにかならないかな】
相葉side
ニノがよくする、
腰をトントンとする仕草。
あれって、
ニノからのSOSだと思う。
腰痛いんだ、っていう。
「マッサージする?」
なんて、言えるわけない。
いつもなら、気兼ねなく触れ合って、
笑い合って。
でも今は、
そんなことが出来る状態じゃない。
通路を挟んで俺の隣に座ったニノ。
頬杖をついて窓の外を
ぼんやりと見つめている姿を、
横目で捉えていた。
…我ながら、気持ち悪い。
「…だめだなぁ」
ポツリと自分だけに聞こえる声で
呟いたつもりだった。
瞬間、ニノがこっちを見た。
バッチリ目が合ってしまい、
逸らそうと思っても
ニノに視線を絡ませられる。
その瞳が妙に色っぽくて、
高鳴る鼓動がおさえられない。
ニノからは逸らす気配はない。
だったら俺から…
と思っても、
なかなかそらすことが出来ない。
だけどこのまま、
ニノを見つめているのも
無理な気がしてきた。
どうすることも出来ない
この状況で、
ドキドキしてるのは俺だけなのか?
ニノは、どう思っているんだろう。