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甘く、苦く

第87章 にのあい【この距離がどうにかならないかな】



「何こっち見てんの」

ふわり、とニノが微笑む。

「みなさん聞いてくださいよお。
相葉さんがずっと俺のこと
見てくるんですよー」

「えっ、あ、違うからっ」

俺が慌てれば、
ニノは楽しそうに笑う。

周りのみんなも、
ライブの疲れなんて見せないで
笑ってくれている。


…あぁ。そうか。

俺、勘違いしてたんだ。



もやもやしていたものが
やっとわかった。


ニノと部屋の前で別れる直前。
俺から、話しかけた。


「ねえ、ニノ」

「なんですか?」

さっきとは変わって、
少し冷たい目線と口調。

大丈夫。落ち着け。


「今日さ、ちょっとだけ
話したいことがあるから、
ニノの部屋行ってもいい?」

「……それ、ってさ、」


震える肩が、視界に入って。


「…俺とのこと…
もう終わりにしたい…って話かな…」


濡れた目が、
俺をしっかりと捉えていた。

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