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甘く、苦く

第88章 大宮【In Fact.】



「はあ?浮気?」

「……うん」


呆れてしまった。
目の前でごめんなさい、と
小さくなるカズを見て。


「俺が浮気してるんじゃないかって
勘違いしたってわけ?」

「…うん」

「なんでだよ」

「だって…最近…激しいんだもん…」


なんでこんなこと言わせるの、と
顔を赤くしてしまったカズ。


「…は?」

「えっち…が…激しいんだもん」

「はあああ!?」

「急に優しくなったり、
なんか最近、変なんだよ…」

「ちょ、お前…」


急に優しくなるって…

それはカズが俺から
離れていくと思ったから…


「浮気した男って、
妙に優しくなるって…いうから…」

「心配になったの?」

「……うん」


…なんだよそれ。


「可愛すぎかよ…」

「なっ!」

「はあ…バカヤロー」


カズを抱き寄せて、
カズの匂いを吸い込んだ。


「浮気なんて、するわけねーじゃん…」


こっちが疑ってたのに、
俺が疑われてたってか。


「…ごめんなさい。
勝手に携帯見て」

「いいよ、別に…その代わりさ」


なあカズ。

俺、少し自惚れてもいいかな。

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