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甘く、苦く

第88章 大宮【In Fact.】



確認が済んで、
今日の分の仕事が終わって、
帰れると思えば引き止められた。


「なに、翔さん」

「あ、急ぎ?」

「うん、超急いでる。
じゃあねー」

「あっおい、」


腕を思い切り掴まれて、
転びそうになった。


「もーなんなの、ほんと」

「いや、どうしたらさぁ…」

「は?そんなの俺に聞くなよ」


なーにが『どっちがどっち問題』だ。

そんなの成り行きだろ。


「いや、困ってんだって。
下って、痛いの?」

「なんで俺にそんなこと聞くんだよ」

「だって、ココ…」


翔さんの手が俺の首筋に触れた。


「っ!触んな、」


ここは、だめだ。

…まさか、バレるとは思わなかった。


「なに、女?
でも興味ないって言ってたじゃん。
だったら男かなって」

「…変なとこでその頭使うよな。
…そーだよ。だったら何か?」

「いや?」


あぁ、めんどくせぇ。

埒のあかない話は嫌いだ。


「俺は下だよ、はいおしまい」

「え!?」

「そんな驚くなって」

「いや、そういうんじゃなくて…
お前恋人いたの!?」

「そこかよ!」


あーもう、嵌められた。


「ごめん、もう今日はここまででいい?
続きは週明けで…」

「待って、どうしても今日!今日がいい!」

「はああ?
なに、今晩スるつもり?」

顔を赤くして俯いてしまった翔さん。

「…図星なのね。はいはい。
ローションとゴムあれば、
なんとかなるよ。

あとはもう勢いだね。
はい、終わり。

お疲れ様ぁ」


翔さんはまだ何か言いたげだったけど、
俺の気持ちを読み取ったんだろうか。

それ以上は何も言わなかった。


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