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甘く、苦く

第91章 モデルズ【思うがままに】


窓から見える東京の夜景を、
二人でベッドに腰掛けて見ていた。

俺がそわそわとしていると、
潤は俺を引き寄せた。

声も出ないくらい、緊張している。

誰にも見られているわけではないのに、
恥ずかしくて顔が熱くなる。


「…雅紀」


甘ったるい声で、
思考が停止しかけた。

この声は、俺を誘ってる時の声だ。

体の内側から、
何かゾワゾワとしたものが広がる。


「な、に…?」


やっと発した声は、
驚くほど震えていて。


「そんなに緊張しなくたっていいのに」


潤の手が、俺の頬を撫でる。

気持ちよくて、思わず笑みが零れた。


「ほら、そっちの方が似合うよ」

「あ、ありがとう」


こうやって、
スマートに落とすんだ。

誰とは言わないけどね。


「ねぇ、何飲む?シャンパン?
あ、ワインもあるし、ビールもあるよ」


冷蔵庫の中を漁り、
俺に問う声が優し過ぎて。

さっきまで隣にいた温もりが
なくなったせいもあってか、
無性に傍にいたくなった。


「…いらない」

「え?」


振り向く潤を、思い切り抱き締めて。

首に腕を絡めて、キスをした。


「いらないから、
もう、潤が欲しくてたまんない」


そのまま、
ベッドになだれ込んだ。

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