
甘く、苦く
第91章 モデルズ【思うがままに】
「…あれ、」
翌朝。
隣に潤がいない。
どうしたのかと思い
ベッドからのそのそと出る。
ふと、ローテーブルの上のメモに気がつく。
『今日は仕事なので先に出ます。
また連絡するね』
相変わらず、読みやすい字だ。
ふう、とひとり溜め息をつく。
正直、昨夜のことは覚えていない。
自分が乱れたことしかわからない。
「んー…」
ぐうっと伸びてから、
深呼吸をする。
カーテンから漏れる光が、
なんだか眩しくて。
今日一日、俺は休みだけれども、
充実した一日を過ごせそうだと思った。
きっと、潤のおかげ。
『朝ご飯を食べてから
チェックアウトします』
連絡だけ入れておく。
今日のことは未定だ。
確か潤は、明日休みだ。
だけど俺は、明日から続けて仕事だ。
なかなか時間が合わない中、
昨夜は俺のことだけを考えて
予定を立ててくれていたんだろう。
そう思うと、
余計に愛おしくなる。
