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甘く、苦く

第33章 お山【やっぱりさ】 session 1

大野side



「わっ!翔ちゃん、焦げてる焦げてる!!」
「え……?これが普通でしょ?」


この真っ黒焦げの魚が普通なの!?

翔ちゃん、あなたキッチンに立っちゃ
いけない人だな……


「もー、翔ちゃんは座ってて!
さすがにここまでだと思わなかったな…」
「なんか言った?」


…ひえっ…


この地獄耳ー!


「いや、あの、翔ちゃんって本当に
料理できないんだなって…」
「悪い?料理できなくて悪かったですねー」


翔ちゃんは怒ってどっかに
行ってしまった。


玄関の扉が閉まる音がした。


…なにやってんだろ…


せっかくのオフなのに、喧嘩して
終わりなんて、嫌だよ…


いや、でもあれくらいで怒る
翔ちゃんもどうかと思うけど…


俺の目の前には真っ黒焦げの魚。

…これをどうしろって言うんだよ…


「翔ちゃん…ごめんね…」



翔ちゃんの名前を呼んだって、
残るのは、虚しさだけ。

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