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甘く、苦く

第33章 お山【やっぱりさ】 session 1

櫻井side



勢いで外に飛び出てしまった。


…さみぃ…




「さとっさん…」



俺とさとっさんを繋ぐ、一つのもの。


…婚約指輪。


さとっさんはサファイアの入った指輪、
俺はルビーの入った指輪。


……あんなことで飛び出すなんて、
俺もまだまだだな……




「さみぃ…」



自販機でお汁粉を買う。


「あれ?翔さんじゃん。」
「あ…ニノか……」


声のした方を振り返ったら
マフラーをぐるぐる巻きにしたニノがいた。


ニノもお汁粉を買った。


「公園、行きますか?」
「…うん。」



ニノにノコノコついてく俺。


ニノはブランコにのって漕ぎ始めた。



「智さんとなんかあったんですね。
なにがあったんですか?」
「……喧嘩したんだよ。
朝ご飯のことで……」
「はあっ!?ご飯作ったの!?
それはまずいよ……」



ニノが俺を見て口を開ける。


「な、なんだよ……」
「翔さんが作る料理って、
全部緑色になるじゃん。
化学反応起こしてんじゃないの?」
「……どんな化学反応かな」
「そんなの考えてる場合じゃねぇだろ
智さんと喧嘩するとか、やっべえな。」


ニノがケラケラ笑う。

笑ってる場合じゃねぇんだよ……

さとっさん……なにしてるかな…



「翔さん、またねー」
「おーよ」


ニノと別れてまた公園に戻る。


家に帰る気がしない……


さとっさん、どうしてるのかな…

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